海外滞在中には誰でも生水に細心の注意を払っていますが、何人もの日本人旅行者が飲んでみてもお腹の不調に陥ることはなかったのは、水源に近い2500m級の高山の湧水でした。考えてみれば、水源は動物や人間の活動エリアに入る前の状態の水ですから、その理由も分かるような気がします。
ただ、このときは運よく健康問題は起こさなかったのですが、最近では日本においても水源付近の水もひどく汚染され、未消毒、自然のままの状態で完璧に安全ということのできる水は、日本はおろか、世界中どこにも存在しない状態に近くなってしまっているのです。
というのも、水の循環を考えると、地球上の水は全て液体、気体、固体いずれかの状態で存在し、形を変えながらこの地球上を循環しいています。その中で汚染されてしまったものは、自然の浄化作用を受ける中で無に近い状態に返ります。ですが、最近では汚染が浄化能力を遥かに超えている、また、自然の浄化能力だけでは分解できない化学物質も排出されるようになり、人間に供給される水の原点である水源にある状態でも既に汚染されているという状況になってしまっているのです。
この源流汚染問題は、10億を超える人口を抱え、しかもここ近年工業発展が極めて著しい中国やインドなどでは特に深刻な問題となっています。ですが、常に形を変えるのが水の常ですから、汚染物質がこれらの国々だけに留まっていることは考えにくいことで、これらの国の汚染問題は世界中に広がっていくはずなのです。
スーパーの水売り場などを覗くと、日本国内を始め世界各国から集められた「××の名水」などと書かれたボトルの水が数多く販売されていますが、これらにも人工的な手が加えられていることは間違いなく、自然のままで安心して飲める水というのは、既にかなりの環境汚染が進行した時点で、この地球上から存在しなくなってしまったのかもしれません。